「印相体」・・・印鑑の書体のひとつである篆書体を印章用にアレンジされたものです。印影の中心から外側へ向かって力強く流れるような線が特徴です。篆書体よりも印相体の方がより複雑で、他人が彫刻内容を見たときに一目で何と彫られているかが分かりにくく、防犯性にも優れているので、特に実印での書体にお勧めです。
「篆書体」・・・篆書の歴史は秦の時代まで遡ります。始皇帝が中国統一を成し遂げた際に文字の整理が行われ、その際に小篆(しょうてん)が採用されました。これが篆書体の起源と呼ばれています。日本銀行発行の紙幣に押されている印鑑や、国や公的機関が使用する印鑑などにも篆書体が使われています。
「隷書体」・・・中国の戦国時代頃から日常に通用されていた筆記体が、秦代になって業務効率を上げるために公文書でも用いられるようになったものが、隷書だと考えられています。左右の払いで波打つような運筆(波磔)をもち、一字一字が横長であるのが主な特徴。
「行書体」・・・楷書を崩した書体です。古代中国では公務文書や祭礼用の文書に用いられていました。柔らかく、優しい感じがするため、女性の銀行印、認印に好まれています。
「古印体」・・・日本で古くから使用される印章用の日本独自の書体です。七、八世紀頃に作られ、大和古印の伝統を受け継いだ古雅な味わいがあります。隷書体に比べ丸みがあり、筆書きのような擦れや欠け、墨だまりが特徴です。読みやすく、ビジネス印や認印に向いています。